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法務とCSを経験したからこそわかる、法務という仕事のあり方

今回は法務を経験し、現在Hubbleでカスタマーサクセス(以下CS)として活躍している佐藤のインタビューをお届けします。

佐藤は前職で法務を経験し、転職の際にも法務を前提として検討されていて他社でも内定が出ていたようです。そんな佐藤がどうしてHubbleのCSへジョインしたのかを聞いてみました。

Hubble カスタマーサクセス
佐藤 史弥
2022年10月入社

リアルに事業運営をしてみたいという思いから、法務以外の選択肢を模索

ーーまずは法務からCSへの転職を考え始めたきっかけについて教えてください。

もともと、私は5,000名を超える日系の大手メーカー企業で法務を経験していました。

実は、就職当時は法務のキャリアを考えていたわけではありませんでした。前職では新卒で入社した後、数ヶ月の研修期間を経て各自が配属先を希望し、部署とのマッチングで配属部署が決まるという仕組みとなっていました。様々な部門の説明を聞く中で、法務の仕事に興味がでてきたので、第一志望で申請したところ、無事希望がかなって配属していただいた、というのが法務のキャリアをスタートした経緯です。

結果として、偶然始めることになった法務の仕事でしたが、専門的な知識を得られることや自分自身への適性も感じていて、非常にやりがいや成長の実感がありました。

入社して数年が経ち、法務の基礎的な仕事に慣れてくると、自分の仕事が結果としてどのように会社や事業にプラスになっているのか?という点に疑問を持つようになりました。

たとえば、取引相手から修正のカウンターがきたときに、事業理解が足りないために交渉の場面での引き出しが少なく、教科書通りの紋切り型の回答しかできないことに悩むこともありました。

加えて、前職の環境は組織がかなり大きく、現場との距離があるためどこか事業運営に対しては自分事として捉えきれず、法務として契約の内容チェック以上の付加価値を生み出せていない感覚もありました。

これでは自分が法務として関わる価値はないと考え、商慣習や商流、製品の知識を習得しようともがいていました。ただ、製品の種類も多く、(完全に自分の責任なのですが)自分自身があまり情熱を持てる分野でなかったこともあり、頭には入るが手触りや実感が得られない、というもどかしい感覚が数年続きましたね。

改めて今後の法務のキャリアを思い描いた際に、「自分が心から情熱を持てるビジネス領域」かつ「事業部門との距離が近い、比較的小規模な会社(スタートアップ含む)」で法務の経験を積むことがプラスになるのでは、と考えました。

ーーどうして法務からCSへのキャリアチェンジを決断されたのでしょうか。

先ほどお話ししたように、当時、基本的には法務での転職を検討していました。しかし、事業運営を身近に感じながら仕事をするには、法務以外にも選択肢はあるのではないかという考えもありました。

他社の選考が進む中、たまたまHubbleの求人に目が留まり、リーガルテックという領域ならば法務の経験を活かしながら事業部門側の仕事に挑戦ができるのだと気づきました。

実は、Hubbleは前職でトライアル利用をしてプロダクトの思想に共感をしていたこともあり、「自分が心から情熱を持てるビジネス領域」という点にも当てはまります。

そのように考えると、自分にとってはまさに求める条件に合致していて、実はアリな選択肢なのではないかと当時は思いました。

ーー異なる職種へチャレンジすることに、不安などは感じなかったですか?

最後まで迷いはありましたね。
法務のキャリアを中断してしまうことや大企業からスタートアップへの転職など、言ってしまえば安定した環境を捨て去る選択になるので、どうしても不安は拭いきれませんでした。

後押しになった一つのエピソードとしては選考の中での執行役員の山下との面談が印象的でした。面談の中でリーガルテックが黎明期であり、これから市場そのものが成長をしていく真っ只中であることを伝えられ、そのような変化の大きい環境で自分が様々な経験を得られることを想像するととてもワクワクしましたね。そうして改めてよく考えた結果、思い切ってHubbleのCSとしてジョインすることを決めました。

CSの経験が法務という仕事の解像度を高める

ーー実際にCSとして挑戦をしてみて苦戦した部分はありましたか?

最初は仕事における思考やスタンスの違いに苦戦しました。
法務では過去の判例や法律の条文などの、確固として定まっているもの、言ってしまえば正解のようなものを根拠に、その案件に当てはめて考えていくという思考の流れをすることが多かったです。一方でCSは何か定まったルールがあるわけではなく、状況に応じて最適な選択肢を考え、提案することが求められます。

加えて、法務は依頼が来てそれに対応する受け身の姿勢でいることが多い傾向にありますが、CSではツールの運用定着や活用の促進に向けて先回りして能動的にお客様に働きかけるというスタンスの違いがあります。最初はこれらの違いに適応することに時間がかかりました。

お客様の立場やご状況を踏まえて、自社の提案を相手がどう受け取るか想像を巡らして会話を運んでいくことはCSで経験した新しい視点での仕事でした。最初苦戦した部分にもなりますが、CSの業務を通じて、法務をしていた頃とは比較にならないくらい、対人コミュニケーションのスキルは向上したと思います。

ーー法務の経験が役立ったと感じることはありますか?

クライアントの課題に対して自分ごとのように深く共感できることは大いに役立っています。

たとえばWordに法務から事業部門に向けて記載したコメント内容をそのまま相手方に送られてしまったり、過去の案件をメールやファイルサーバから探すのに苦労したりすることは、多くの法務パーソンが経験したことがあるのではないかと思います。そういった課題を単なる情報としてではなく、自分自身の経験と紐づけて理解できることは法務を経験していたからこそできていることだと思います。

CSとしてクライアントと関係構築をすることはとても大事にしているのですが、課題を自分ごとのように理解できることは関係構築を行う上でもとても役に立っています。

あとは、法務の仕事ではひたすら複雑な文章を読んだり書いたり、徹底して思考したりといったことが習慣化していましたが、そのおかげで「思考の体力」のようなものは高いレベルで身についたと思います。これが、お客様に対して本質的に重要な課題解決のプロセスなどを提案するうえで、非常に役に立っていると思います。

ーーCSをしていて独自の魅力や楽しみはどんなところになるのでしょうか。

積極的にクライアントへ提案をしてお客さんのためになった時や、ユーザーの声が評判として会社に返ってくるところは、お客様と直接関わる機会の多いCSだからこそ感じる魅力だと思います。自分自身がどのように貢献できたのかもわかりやすいですし、実際の声を元にプロダクトやチームをより良くするPDCAを回す姿勢は非常に刺激的です。

また法務という仕事について、自分の中であらたな発見があったことはとてもよかったです。クライアントをサポートしていると課題が千差万別で業態や状況の背景が様々であることを実感します。経験の数が増えるにつれて「事業を強く、成長させるための法務はどういうものか。」ということを客観的に考えられるようになりました。

加えて、事業部門の立場として、契約内容の交渉により案件の進行が遅れてしまう焦りや、社内・社外とのやり取りの煩雑さを体感し、契約業務が億劫に感じてしまう心理をよく理解できました。今振り返ると、前職で法務をしていたときは、そうした事業部門の気持ちに必ずしも寄り添えていなかったのかも…、と反省をすることもあります。

こうした客観的な視点はCSとして新たに挑戦をしたからこそ得られたことで、むしろ法務という仕事の解像度が上がったのではないかと感じます。

独自のポジションを活かして将来の可能性を広げる

ーー法務とCSの経験をした今、どのような目標ややりがいを感じていますか。

直近では、会社の売り上げを意識して、そのために必要なアクションの実施・管理といった仕組みづくりなど様々なことに挑戦できていることですね。CSとして目の前のクライアントを支援しきるということはもちろんですが、チームでサポートをするという視点をもつと、まだまだ整備できることや取り組むべきことがたくさんあります。私の場合は顧客情報の一元化と、これにもとづく顧客への適時・適切な提案をチームとして徹底できる体制を整えたいという背景から、顧客管理のシステムの活用推進を行っています。

事業に必要なことを考え、取り組むことは転職を考えた際の「事業を運営している感覚」を味わっている気がして非常にやりがいを感じています。もちろん全てが上手く行くわけではありませんが、自分の取り組みが売り上げやクライアント満足度に繋がった時に自分の介在価値を強く実感できます。なので今は個人とチーム全体の視点どちらも大事にしながらもっとあったらいいなと思うことを考えて形にすることが目標です。

ーーそれではこのままCSとしてのキャリアを極めていこうとお考えなのでしょうか?

いえ、確かにやりがいは感じているのですが、CSの道でキャリアを進めていこうと選択肢を絞り切っている訳ではありません。CSという立場を通じて売り上げについて意識するようになり、CSと営業チームなど他部門の連携が増えたからこそ、セールスやマーケティングにも関心がありますね。

ほかには法務とCSを経験している人が少ないからこそ、独自のポジションを構築できたのではないかと思っています。そうすると法務という役割でも私だからこその価値の高い仕事や提案ができるのでは無いかと考えています。そのため、もしかすると、また何らかの形で法務に関わるという選択肢もあり得るのではないかと思います。

現時点でCSという立場からできることにたくさん挑戦したいという気持ちはありますが、長期的な目標がこれといって決まり切っているわけではありません。培った経験を無駄にすることなく、挑戦を続けていくと自然に自分独自の武器やポジションができてくるかと思うので一つの可能性に絞り切らずにいます。

HubbleのCSは自分の武器を探す人におすすめ

ーー法務からCSへキャリアチェンジをする方は多くはないと思いますが、おすすめするならどのような人ですか?

法務からCS職への転職が、必ずしも法務経験者全員に適しているわけではありませんが、『自分の強みは何か』、と悩んでいる方にはおすすめしたいです。

とくに私のように法務で経験をしているものの、事業運営のより核心に近いところに関わりたいと感じている人はキャリアチェンジも一つの選択肢にあるということを伝えたいです。

ーー一方であえて法務経験があるけど、CSをおすすめしない場合はどんな方ですか?

強いて言うならばという感じですが、ロースクールを卒業されている方や弁護士資格を有している方などでしょうか。
法務としても大きなアドバンテージを持たれている方だと思いますし、他の職種へのキャリアチェンジよりも、すでに持っている専門性をどのように高めるかを自分ならば考えます。

ただ客観的な経歴などでアドバンテージを持っていたとしても、何か挑戦をしてみたいと感じている方はその経験が完全に無駄になるわけではありません。あくまでもその人がどのような成長を描きたいのかという点を大事にして欲しいです。

ーーありがとうございます!よろしければCSに関心を持っている方へ向けて一言お願いします。

法務の専門性は非常に強い武器になりますし、CSへのキャリアチェンジが必ずしもいいとは思えません。それでも何か新しいことに挑戦をしたいという気持ちを持たれている方は恐れすぎずに挑戦をしてみて欲しいです。

HubbleのCSチームはそのような挑戦をしてみたいという方にぴったりの環境だと思います。もしHubbleのCSへ少しでも興味を持った場合はぜひ気軽にお話ししましょう!

執筆:山本 壮馬
撮影:坂脇 奈緒

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