見出し画像

Hubble、シリーズBラウンドで7億円の資金調達を実施 —JICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社 木村氏と対談

当社は2024年12月、シリーズBラウンド1stクローズとして7億円の資金調達を発表しました。


今回、リード投資家であるJICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社(JIC VGI) 木村 孝志 氏をお招きし、当社Co-Founder&CEO 早川との対談を通じて、当社に抱いた印象や期待感、想いなどを伺いました。


中長期での信頼関係の構築こそが、シリーズBの鍵に

早川:本日はよろしくお願いします。まず、私と木村さんの出会いのエピソードから振り返りたいと思います。実をいうと、最初の出会いはもう2年前になりますよね?

木村:こちらこそ本日はよろしくお願いします。はい、おっしゃるように最初にお会いしたのは2022年の夏、スタートアップのカンファレンスでしたね。お会いする前から御社やHubbleというサービスは知っていましたが、そのカンファレンスで早川さんと直接お話ししたのが最初でした。その後、ランチをご一緒したり、定期的にお話をさせていただいたりを経て、今回の資金調達のタイミングで正式にお声がけいただき、検討の機会を頂戴した流れですね。

早川:改めて振り返ると懐かしいですね。私もシリーズAが終わったタイミングで進捗共有のミーティングをさせていただいた記憶があります。そこから継続的に接点を持たせていただき、相互にキャッチアップを続けていけたことは本当にありがたかったです。

既にそのような関係性があったこともあり、今回のラウンドで「投資のために出会った」というよりは、長くお付き合いをさせていただいた中で投資を決めていただいた、と感じています。結果として投資頂けたことはもちろん嬉しかったですが、最終的な「投資」という結果だけでなく、そこに至るまでの過程も含めて信頼関係を構築させていただいていたのかなと思っています。

木村:まさにそうですね。早川さんからは事業に対する想いや日々の経営や悩み、事業の進捗状況をいつも教えて頂き、私からはJIC VGIとして「日本における産業・社会課題、市場課題をどのように捉えていて、それら課題を解決するためにどのような活動を行っているか」をお伝えしていました。
その中で、「Hubbleと私たちがどのような形で、これら課題を一緒に解いていけるか」という話をディスカッションさせていただきました。JIC VGIはグロースファンド、Hubbleは当時まだアーリーステージでしたが、そのようなタイミングから様々な議論をさせていただけたことは私にとってもありがたい機会でした。

早川:調達後でもあったので、私たちも落ち着いて話ができた記憶です。資金が少なくなり始めて焦っている時にお話しをしていたら、また全く違う印象になったかなと思います。お話をさせていただいたのがシリーズAが終わったタイミングだったことも、その後の関係性を築いていくうえで良かったのかなと思っています。


事業マイルストーンを未来の投資家に宣言&実現することの重要性

早川:2022年にお話しさせていただいたときと直近のピッチとで、良かったところや改善点など含め、どのような印象をもたれましたか?

木村:最初にお話ししたタイミングから継続的にキャッチアップがあり、今回の調達のタイミングで正式にピッチを頂いたという経緯ですが、2年前、早川さんが「次のラウンドまでにはここまで事業を伸ばします!」と自信を持って宣言されていたのがとても印象に残っていました。そして今回ピッチを頂いて、振り返ると、まさに宣言された通りにこの2年で事業成長も組織強化も着実に実行されてきたのだなと感じました。

早川:そう言っていただけると嬉しいですね。
目標もどんどんストレッチしていく中で、経営者として、目先のことをやりながら中長期のことも考えていくと自分がしっかりと前に進めているのだろうかと思うこともあります。その中で客観的な視点で定点観測してきちんと評価いただいていると思うと、私たちも成長を実感できて自信になります。

木村:過去2年間を通していろんなやり取りをさせていただいたこともあり、今回のピッチでも御社の言葉には説得力があったというか、力強さをすごく感じましたね。

早川:また今回ピッチでお話しさせていただいた後、木村さんに力強くデューデリジェンスを進めていただいた印象でした。私たちも事業がグロースステージに入る中で、デューデリジェンスを通じて新たな示唆や学びがあり、更なる高みに引きあげてもらった感覚でした。この過程を通じて私たちも大きく成長できた気がします。


経営陣の関係性や組織文化が生み出す信頼の基盤

早川:ご検討を頂く中で、オフィスにも来ていただき、私以外のメンバーも木村さんと多くの時間を過ごさせていただきました。経営メンバーや組織の印象もお伺いできますか?

木村:創業メンバーの3人には1on1も含めて多くの時間を割いて頂きました。お話を聞く中で、3人が背中を預け合って、信頼関係を築きあげながらここまでやってきたのだなと強く感じました。それぞれに対するリスペクトはありながらも、議論すべきことはきちんと議論をし、Hubbleという会社をここまで作り上げてきたのだろうと思いました。いまは更なる成長を目指して強力なメンバーが新たに参画し、必要なピースが着々と揃い始めている段階だと思っています。次なるフェーズに向け歯車が加速し始めていますね。

早川:信頼関係で言うと、かなりの頻度で飲みに行くんですよ(笑)。そこでざっくばらんに事業について話したりして、課題感などをクリアにコミュニケーションしています。これは会社の文化としても浸透していて、そうしたところも良さとして感じていただけているのかなと思いました。

木村:また、検討の過程では、Hubbleの経営メンバーの皆様との議論やケーススタディも複数させていただき、うまくいった事例だけでなく、逆にうまくいかなかった事例もフェアに共有いただけました。フェアであり、かつ客観的な視点を持つことで、かなり有意義なディスカッションができましたし、その中でHubbleの組織やカルチャーの良さが滲み出ていた気がします。

早川:そのように言っていただけてとても嬉しいです。「フェア」というところに関してお話をさせていただくと、当社、あるいは私自身の生き方にもなりますが、分かることを「分かる」と言うのは当然で、分からないことがあればそれもちゃんと「分からない」と言う、ということを意識しています。大きくも小さくも見せない、誰とでも等身大でコミュニケーションを取ることを大事にしているんです。
経営会議などでも「できていないことで責める人は誰もいないから、ちゃんと言って欲しい」と常々言っています。当然のことではありますが、それを知ることで周りが助けられることもあると思っています。

そのような姿勢も含めて、虚勢を張りすぎず、私たちが社内でも大事にしていることやカルチャー含めてそのままお見せしたことが信頼の基盤になり、またそれを感じ取って頂けたのも嬉しく思います。


現場の課題を捉えた、「正に使いたかった」プロダクト

早川:次にプロダクトの話に移れればと思うのですが、木村さんはHubbleのサービスや解こうとしている課題など、プロダクトへの理解が深かった印象ですが、どのように私たちのプロダクトを見ていらっしゃいましたか?

木村:プロダクトは、掛け値なしに本当に良いものを作っているなというのが一番はじめに抱いた印象でした。私も以前大企業に勤めていて、Hubbleが捉えている課題に日常的に直面してきた経験があります。「当時からこのプロダクトがあれば、手がかかっていた複雑な作業やコミュニケーションももっとスムーズにできたであろうし、生産的に仕事ができただろうな」と強く思いました。そのような私自身の実体験からも、現場が抱えている「手触り感のある課題」をうまく捉え、解決しているプロダクトだと思っていました。

また、働き方の多様化が進み、リモートワークが増えたこともHubbleが提供する価値の増大につながっているのではないでしょうか。例えば「これどうなった?」「この件なんですけど・・・」といった、それまでオフィスで顔を合わせながら即時多発的に行われていたコミュニケーションがリモート環境下では難しくなりました。Hubbleのコミュニケーション機能によって、顔を合わせていなくても同じような環境を再現できるので、環境の変化を捉えているなと思っています。

早川:ありがとうございます。まさに私たちが解決したいと思っている業務課題、プロダクトの根本的な思想のところをご評価いただけて、とても嬉しいです。


投資検討の中でHubbleを使い、メールはゼロに

早川:実は今回の投資検討の中でHubbleを実際に使って頂きましたが、いかがでしたか?

木村:Hubbleのユーザーアカウントを発行頂き、投資契約書等の調整を弁護士の先生や関係者を入れて、Hubble上でやり取りをさせていただきました。
使ってみると、本当にHubble内でやり取りが閉じる形になっていて、メールも使わずに進められましたね。
また、やりとりに関する情報がしっかりとHubbleの中に蓄積されていくので、契約書のバージョン管理もそうですし、関係者間のやり取りも時系列で古いものから順番に蓄積されていくので、過去の経緯を確認したくなった時も1つ前のバージョンをクリックすればすぐに辿り着け、非常に効率的なやり取りができていました

早川:素晴らしいエピソードですね(笑)。私たちはそういったことをよりスムーズに実現すべく、将来的には「取引先を巻き込んで一気にドキュメンテーションしていく」体験を提供したいと思っています。

木村:そこはものすごくポテンシャルがあると思います。大いに期待しています。


契約マーケットから、その先の世界へ

早川:「契約マーケット」、そしてその先の「ドキュメントテック」への可能性を含め、Hubbleのポテンシャルをどのように捉えていますか?

木村:今は「契約業務におけるオペレーションとコミュニケーションの課題」を捉えながらプロダクトを作られていると思いますが、「契約」に限定されない他の様々なドキュメンテーション業務においても、複数部署の人が複雑に関わりあい、レガシーな業務オペレーションが行われている現状があると思います。Hubbleが解決している課題の根源は共通であり、様々な局面への事業の広がりも大きな可能性があると感じています。

早川:ありがとうございます。Hubbleのアイディアができた時も「バージョン管理が重要なドキュメントで、誰でも簡単に使えるGitHubを作ろう」と考えていたため、当初からドキュメント共有や管理のしやすさ、コミュニケーションの円滑さにはこだわっています。
まさにコメントいただいた通りで、実際には契約書以外に社内規程や利用規約、取締役会などの議事録など、契約書に以外にも幅広くご利用いただいています。そういったユースケースも今後は増やしていきたいです。


Hubbleがこれからも大事にしていくこと:「圧倒的顧客理解」

早川:当社の課題やこれから取り組むべきテーマなどがあればぜひ率直に教えていただけますか?

木村:世の中的にDXの流れは当たり前に今後加速し、その中でお客さまのニーズも日々目まぐるしいスピードで変わり、求められる水準も高まっていくと思います。その中で、Hubble自身もアップデートを続けられるか、そして今後も継続してお客さまの課題をしっかり捉え、解き続けられるかが大事になってくると思います。Hubbleは本格的なグロースステージに入ってきていますが、これはどの事業ステージになっても不変だと思います。

早川:事業がグロースステージになると、どうしても経営陣は現場の手触りがなくなり、1年前の成功が当然のように続いている前提で、エクセルで乾いた事業計画を引くようになってくるのだろうと思っています。私たちも油断していたらそうなりかねません。
当社のValuesでは一番上に「圧倒的顧客理解」を置いていますが、経営の舵を握る人がいかにお客さまの課題を敏感に感じながら、自分たちの仮説が今の世の中にフィットするのかをフィードバックをいただきながら検証を行うこと、この回数で経営の数字が決まると思っています。

経営者として成長しないといけないプレッシャーは当然ある中で、「では経営者とは何か」と自分に問うと、私は「現場」にもこだわり続けることが大事であると考えています。このバランスをしっかり意識して経営のかじ取りをしていきたいですし、今後も引き続き重要になるだろうと思っています。

私はナレッジワークの麻野さんを尊敬していますが、麻野さんが直近で「スタートアップは経営陣や創業者より大きくならない。いろんなことに関心を持って自分自身を高めていかないと、それが会社としてのアップサイドになってしまう」といったコメントをされていました。


それを自分に置き換えた時に、自分が顧客に一番詳しい状態でありながらも5歩ぐらい先を行った仮説を持ち、その仮説の確からしさを常に検証し、それが一定経営に落ちている。そこの仮説の高さや手段、顧客の理解度がその会社のアップサイドになるのかなと思っています。


真の「業務変革」、そして世の中の社会課題の解決へ

早川:最後になりますが、JIC VGIあるいは木村さんがHubble に期待することをお伺いできますでしょうか?

木村:私たちJIC VGIは、スタートアップが提供する革新的なサービスやプロダクトを通じて「世の中の社会課題の解決、産業競争力や企業活動の強化」に貢献していきたいと思って日々活動しています。繰り返しにはなりますが、御社のサービスは課題の本質をしっかり捉え、上手な解き方をしていると思いますし、それがもたらす社会的な意義は大きく、世の中に対して大きな価値貢献をしていけるだろうと期待しています。

そのような世界観を実現していくうえでは、御社が掲げる「手触りのある課題をテクノロジーによって解決し、働く人の個性や創造力が発揮される未来を創出する」というPurposeもそれを体現していると思っています。世の中の企業活動の中で、「生産性が悪いとみんなが感じていながらもこれまでずっと解決されていなかった」ものをしっかり捉え、根っこのところから融かし、仕事の現場課題、社会課題の解決に貢献していける、そんなスタートアップであり続けてほしいと期待していますし、それを実現していける経営陣とメンバー、プロダクトが揃っていると思っています。

早川:私たちは単なるデジタル化ではなくて、真の「業務変革」をやりたいと思っています。契約業務においてもまさに「業務スピードを10倍にできるか」や「10分の1または0にできるか」、それとも(Slackのように)「もっともっと心地の良い体験を提供できるか」、そのような形で働く皆さんの業務自体そのものを変革していきたいと思っています。

短期の売上目標をきちんと達成しつつ、スタートアップとして中長期での非連続成長も常に目指し、その核となるところには「業務そのものを無くせる方法があるのではないか」という思想があります。そのような思考で今後もプロダクト開発やお客さまへサービスを提供していければと思っていますし、投資家の皆様もそれを望んでいるはずだと思うので、短期・中長期合わせてその両輪で今後もやっていきたいです。

お話をさせていただいて、改めて身の引き締まる思いで、頑張っていこうと思いました。
本日は本当にありがとうございました。

木村:こちらこそありがとうございました。



HubbleのTwitterも フォローお願いします