法務の経験を活かして、"契約DX"推進のプロフェッショナルに
今回は、Hubbleのカスタマーサクセス(以下CS)チームで活躍する上村の社員インタビューです!
HubbleのCSチームの特長は、メンバーの半数以上が法務経験者であること。上村もその一人で、前職ではHubbleを導入するプロジェクトを推進していた元Hubbleユーザーです。彼が法務からキャリアチェンジをしてHubbleのCSとして入社した理由について、詳しく話を聞いてみました。
元々は、リーガルテック導入を推進する法務担当
ーー上村さんは法務経験者ということですが、これまでのキャリアを教えてください。
前職では、総務課長として総務全般を担当していましたが、法務の業務にも携わっていました。総務課の主な業務は内部統制、規程管理、ISMS事務局、庶務、法務(契約・商事)、情報システムで、社員3名とアルバイト2名、合計5人のチームで運営していました。この内1名の社員が、情報システムをメインで担当し、もう1名が稟議まわり、許認可、もう1名が総務周りの請求や契約審査を一部担当していました。アルバイトの方々にはマニュアル化した業務をお願いしていました。
具体的には電話対応や反社チェックの1次チェック、稟議承認後の契約書発送管理、契約書PDF化や保管、備品管理などです。私は、全体のマネジメントに加え法務業務、IPO準備なども担当していました。
ーーHubbleの導入を推進されたということですが、何かきっかけはあったのでしょうか。
前職での法務業務は大まかに3つのカテゴリーに分けられます。
契約法務
商事法務(取締役会、株主総会運営実務)
登記対応、知財管理
基本的にすべての業務を行っていました。この中で、契約法務は最初は私が一人で対応していましたが、時間的な余裕がなくなり、最終的には、もう1名の社員にレクチャーしてお願いしていました。IPO準備をするということは、上場する市場にもよりますが、成長を前提とするので、売上を上げていくと自然と契約書の件数が増えていきます。
その過程で、契約審査にいくつかの問題を感じ始めました。具体的には、依頼の抜け漏れが起きたり、返信の時間がかかったりするようになっていました。社内でのコミュニケーションがメールベースだったため、審査依頼用のメールタイトルを統一していたのですが、違うメールタイトルで来ることもあり業務負荷が高まると抜け漏れが発生してしまっていました。
改善する必要があったのですが、最初は費用をかけずにできる方法を考えました。まず、契約審査の依頼をGoogleフォームで受け付けるように変更しました。この変更により、すべての案件をスプレッドシートで確認でき、契約審査に必要な情報を集められるので案件の可視化は出来ました。抜け漏れは減少したのですが、業務量が減る訳ではないので遅延には大きな変化はありませんでした。人をすぐ増やせる状況でもなかったのでシステムで改善することにし、リーガルテックをいくつか調べ始め、その過程でHubbleに出会いました。
ーー様々なリーガルテックに出会った上で、Hubbleを導入したポイントを教えてください。
最終的にはHubble、AIレビューツール、締結後管理ツールの3つのプロダクトを同時に導入しました。
前職ではIPO準備をしている、DX化を進めているという大きな課題感とコロナ禍という背景がありました。前職代表のDX化への意識、今後のことを考えたらそういったツールを導入することは先行投資として良いという判断があり、その結果提案した全てのシステムを導入することができました。社会的、会社としての時流が後押ししました。そういった背景でツールの導入は比較的スムーズに行うことができました。正直、どれか一つだけでも入れられたらと考えていたので、3つのツールを一度に導入することになるとは、正直思ってもいませんでした。各部署の協力のおかげで導入できたと思っています。
各ツールを導入した理由は以下です。
AIレビューツール:契約審査のボリュームに対して人員が不足しており、人をすぐ入れるということも困難だったため、契約書審査を迅速化すること、審査レベルの標準化、教育に使う目的でAIレビュー機能を導入しました。
Hubble:契約に関わるコミュニケーションを一元化し、やり取りの経緯をためて、やりとりの情報を後で会社全体の資産として利活用できるよう導入しました。
締結後管理ツール:締結後の契約管理を行うスペースとして、クラウドサイン連携による契約書の一元管理を行うため導入しました。
ーーHubbleを含め、実際に各ツールを使っての感想を教えてください。
各ツールは特定の問題解決のために導入しましたが、使用していく中で、AIレビューを除く多くの機能がHubbleでも可能であることが分かりました。そのため、現在ではHubbleを広範囲にわたって活用していると思います。当初はコミュニケーションツールとして導入されたものの、今ではバージョン管理、電子サイン連携、締結後の台帳管理など、さまざまな機能を利用しています。私が退職した後も、チームはHubbleを非常に効果的に活用してくれていると思います。
法務の軸を活かした転職活動
ーーその後Hubbleへ転職されますが、なにかきっかけがあったのでしょうか。
会社が上場できるかどうなるかわからない時期があったのですが、私としては最後まで関わりたい、それが完了したら今後のキャリアを考えようと思っていました。マネジメント経験、法務経験、IPO準備ができたことは私にとって有り難い経験でしたが、このままやっていくのは難しいと感じていました。
当初は、転職の軸として「IPO準備から上場した経験」と「総務マネジメント経験」の2つの軸に考えていました。そのため、上場準備をしている企業に入り、IPO準備と総務マネジメント業務に携わることを想定していました。
もちろん「法務経験もある」とは思いましたが、長い経験ではなかったため、それに特に重点を置くことはありませんでした。ちょっと話が逸れますが、前職でHubbleを導入した際、営業担当がCEOの早川だったんです。そのため、Twitter(現X)で彼をフォローしており、簡単な連絡であれば取れる関係でした。
何社か選考を受けているときに早川のTwitterを見ていたところ、オープンポジションの募集を見つけました。そこで、媒体経由でするのも水臭いなと思いフランクにTwitterのDMで「現在転職を考えているのですが、Hubbleに私に合ったポジションはありますか?」と連絡を取ったのがきっかけです(笑)。
ーーHubbleではカスタマーサクセスというポジションになりましたが、決め手はなんだったんですか?
Hubbleでカスタマーサクセスを選んだ理由は2つのポイントがあります。
まず1つ目は、ビジネスに直接関わることができる点です。当初はIPO軸での転職活動をしていましたが、管理部門の仕事は内部統制を作り、それを実際に運用することになるのですが、売上に直接関わる機会がないことにIPO準備中にフラストレーションを感じていました。事業部のメンバーは上場に向けた売上を作っていますが、管理部門としては、経費削減や効率化を行うことになります。効率化をすることで、人件費を削減、システムで効率化することである意味利益を増やせるのですが、直接関わりたいという思いがありました。
逆に見れば事業部門が出来ない仕事を管理部門は行っていますし、専門性もあります。長期的に見れば、管理部門の業務が間接的に利益につながる動きができるのは理解していますが、売り上げに直接関与していないことにもどかしさを感じていました。そのため、CSのポジションでビジネスに直接関わることができるという点は、私にとって大きな魅力でした。
もう1つは面白そうだったから(笑)。非常に抽象的で恐縮なんですけど…。例えば一緒に働く人ですが代表の早川は良い意味で社長っぽくなくて。普段見ていたツイートもこんな感じでした。
社長は営業出身でゴリゴリに仕事を進める方が多いイメージがあったのですが、その真逆に感じて、それでうまくいく世界線が一部でも一緒に作れたら面白いなと思いました。
プロダクトも何でもできる機能を作ると言うよりも、これが重要ですよね?というものを実装していく、Hubbleが目指す世界観を実現すると言うポイントに当時から重きを置いていたので、他のリーガルテック会社とは違う魅力を感じていました。
ーーカスタマーサクセスと総務・法務だと大きなキャリアチェンジだと思いますが、前職のキャリアはどのように役に立っているのでしょうか。
前職だけではないのですが、キャリアの最初は接客業をしており、少しだけ営業をしたことがあり、事業部門、管理部門を経験しているので、いままでの知識と経験すべてが役立っています。
例えば前職の法務知識については、民法改正で用語が変わった瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いや、法務あるあるなど法務の経験がなければ理解しにくい内容も多いと思いますが、法務の経験があることで、法務担当者と共通の言語を持ってコミュニケーションを取ることができています。
経験の面では、法務でよくある事例を自分の経験として話すことができます。例えば、お客様とのコミュニケーションで「●●のこの部分は確かに不便ですよね」と話す場合、大抵は自分も過去に同様の経験をしており、実際に不便だと感じたり、業務上の困難を経験していたりします。そのため、実感を持ってお客様と話すことができるのは、非常に大きなメリットだと思います。
ーー裏を返すと、法務経験がないとHubbleのCSは難しいと言うことでしょうか?
そういうわけではないと思います。お客様のカウンターパートも法務の方だけではなく、総務、経理、営業部門の方の場合もあります。既存のメンバーには、前職でSaaSのCSとしての経験を持つ人もいれば、新卒で入社したメンバーもいます。法務経験のあるCSメンバーは私を含め3人おり、法務の観点からの情報共有は私たちが担当しています。法務に対する情報はNotionで文書化されているのでキャッチアップは可能です。
CSとしての基本やベストプラクティスに関する知識は、他のメンバーからチームに還元されています。知識があっても経験が不足している部分は、お互いに補い合っているという状況です。CSとしては、顧客理解、プロダクト理解が重要ですが、その意識がある方なら問題ないと思います。
想像以上にアーリーステージだったHubbleへの転職
ーー前職と異なり、HubbleはシリーズA前のタイミングで入社されていますが、働いてみてのギャップはありましたか?
私は20人前後の頃に転職しましたが、実はHubbleにもっと多くの人がいると想像していました。社員数で言えば100人くらいいるだろうと思っていましたが、これは明らかにリサーチ不足でしたね(笑)。
なぜなら、「Hubble」というプロダクト自体や、「OneNDA」のような取り組み、「Legal Ops Lab」での毎週の記事投稿などを見ていたので、実際は20人前後の規模だとは思いもよりませんでした。
働いてみて感じた最大のギャップは、利用するITツールの多さですね。たとえば前職ではコミュニケーションツールとして主にメールを使っており、他のツールと言えばLINE Works、やワークフロー、各種社内システムくらいでした。そのため、Slack、Asana、Notion、お客様とのチャットサポートサービスなど使うシステムの多さには驚きました。全社で使うツールの数も、比較にならないほど多いですし、CSチームで使うツールもいくつかあり、これらに慣れるのが最初は大変でした。
さらに、前職ではWindowsでしたが、HubbleのCSはMacユーザーが多かったので私もMacにしたのですが、何を考えたかMacのキーボードをUS配列にして、自分で慣れるための難易度を上げていました。慣れていない方は日本語配列のほうがいいです(笑)
ーー業務に慣れるまで、どれくらいの時間を要しましたか?
慣れるまでにはおおよそ3〜4ヶ月かかりました。Hubbleではドキュメント管理にNotionを活用していて、特にCSチームのNotionページは情報が非常に整理されていたので、キャッチアップは比較的容易な環境でした。
このナレッジを読み込みながら、実際にお客様対応を行うこと、過去の商談を見返すことで、プロダクトや顧客理解を深めていきました。特にお問い合わせ対応を行うことで、お客様がどのようなポイントで躓くのか、困っているのか、どのような情報があれば役立つのかといった理解が深まりました。
ーーお客様を担当するようになって、上村さんが担当される領域の特徴などはあるのでしょうか。
明確な指針は設けていないのですが、私が担当しているお客様の多くはIPOを目指している企業です。サポート領域にIPO支援が含まれているわけではありませんが、例えば「下請法の管理はどのように行っていましたか?」「契約書管理はどうしていましたか?」という質問には、私の過去の経験をもとに回答したり、Hubbleを活用する方法を提案したりすることはあります。
法務やIPOに関する私の過去の経験がお客様対応に活かされていることは、本当に嬉しいですね。
法務での経験は、キャリアチェンジでも活かせる場面が多い
ーー法務からCSなど、キャリアチェンジを考えている人に、何かアドバイスやメッセージをお願いします。
必ずしも法務からのキャリアチェンジを推奨するわけではありませんが、法務の経験があると、キャリアチェンジした際に活躍できる場もあると感じています。例えば、リーガルテックと呼ばれる分野や契約関連のサービスを提供している会社のように、法務の経験が非常に親和性の高い場所です。顧客理解や職種理解があるため、お客様の観点から物事を考えやすく、フィットすると感じています。
法務経験をベースにビジネス領域へのチャレンジを考えている方には、このような観点で転職活動を行うことも面白いと思います。ただマインドセットとしてビジネスマンとしてやるという意識が重要だと思います。もちろん、法務としてのキャリアを深めたいと考えている方が無理にキャリアチェンジする必要はありません。法務を担当しながら「もっとビジネスに関わりたい」「もっと●●をやりたい」と思う場合は、キャリアを異なる角度から見つめ直してみるのも一つの方法です。
また、もしHubbleのCSチームに興味をお持ちであれば、ぜひ気軽にお話ししましょう!